アスベストとは

アスベスト(石綿)は、天然に産する繊維性鉱物です。 その繊維は極めて細く、アスベスト1本の直径は0.01ミクロン~1ミクロン程度であり、髪の毛の約5000分の1の細さといわれています。 アスベストは「いしわた」とも呼ばれるとおり、綿のように軽く、石のように熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持ち、さらに安価であることから、「奇跡の鉱物」と呼ばれ、建材(吹き付け材、保温・断熱材、スレート材など)、摩擦材(自動車のブレーキライニングやブレーキパッドなど)、シール断熱材(石綿紡織品など)といった様々な工業製品に使用されてきました。

アスベストを原因とする病気

石綿(アスベスト)を原因とする疾患は、石綿のみによって生じるとされる石綿肺、中皮腫、石綿胸水(石綿胸膜炎)と、石綿以外の原因によっても生じるとされる肺がん、びまん性胸膜肥厚等があります。 石綿以外の原因によって生じるとされる疾患については、石綿を吸い込む可能性のある職歴の有無、胸膜プラークの有無・量などから、石綿に由来するものか否かが判断されます。

アスベストの種類

アスベストは、蛇門石系石綿と角閃石系石綿に大別されます。 蛇紋石系の石綿繊維としては、クリソタイル(白石綿)があり、角閃石系にはクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アクチノライト、トレモライト、アンソフィライトがあります。角閃石系の石綿繊維は、蛇紋石系よりも発ガン性が強いとされています。 このうち、日本で使用された代表的なアスベストは、クリソタイル(白石綿)とアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)です。特に、クリソタイル(白石綿)は、多くの石綿製品の原料として使用されており、これまで使われたアスベストの9割以上を占めるとも言われています。

アスベストの危険

アスベストの繊維は極めて細いため、空気中に飛散しやすい性質を有しています。 アスベストによる健康被害は、空気中に浮遊するアスベストを吸い込むことにより起こり、吸入されたアスベストは15年から40年後に中皮腫、肺ガンなどの石綿関連疾患を発症させることがあります。 研磨機、切断機などを使用することにより直接アスベストを吸い込むことはもちろん、吹付け石綿などの除去等においても所要の措置を行わないとアスベストが飛散して人が吸入してしまうおそれがあります。

アスベストの規制

日本では、1975年にアスベストの吹き付け(但し、含有率5%以下は除く)は原則禁止され、1995年から青石綿と茶石綿の製造・使用は禁止されました。 しかし、白石綿はその後も大量に使われ続け、2004年までアスベスト含有建材は製造されており、2006年にようやく、代替が困難な一部の製品を除き、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する全ての物の製造・使用が禁止されました。