建設アスベスト訴訟とは、建築作業に従事した結果、石綿(アスベスト)に関連する病気にかかってしまった被害者及びそのご遺族が原告となり、国及び建材メーカーに対する損害賠償請求を求めている訴訟です。

2008(平成20)年5月16日、東京、埼玉、千葉のアスベスト被害者の方及びそのご遺族(原告数353名、被災者数303名)が、被告である国及びニチアス(旧日本アスベスト)等の40社を超えるアスベストを含有する建材を製造していたメーカーに対し、一患者当たり3850万円(弁護士費用含む)の損害賠償を求め、東京地方裁判所に裁判を起こしました(東京1陣訴訟)。

東京1陣訴訟を皮切りに、各地で建設アスベスト訴訟の提訴が続き、2020(令和2)年3月24日には、さいたま地方裁判所においても、初めて建設アスベスト訴訟が提起されました(原告数43名、被災者数38名。埼玉訴訟)。また、同日は、全国一斉提訴として、埼玉のほか、東京、横浜、京都、福岡、札幌にも訴訟が提起されています。

2021年5月17日、最高裁判所第一小法廷は、東京1陣訴訟を含む4件の建設アスベスト訴訟について判決を言い渡し、国及びアスベスト建材を製造したメーカーの責任を認める統一的判断を示しました。

本判決は、一人親方に対する責任を認めるなど、国の責任を広く認めたほか、メーカーの責任を限定的に肯定するにとどまった2017年10月27日の東京高等裁判所(神奈川第1陣訴訟)判決や、メーカーの責任を否定した2018年3月14日の東京高等裁判所(東京第1陣訴訟)判決を見直し、新しい規範を示しました。

そして、この判決を受けて、翌18日、菅元総理が原告らに謝罪し、弁護団らは、国との間で、当時すでに提起されていた訴訟の早期和解解決、未提訴者の補償制度の立法、建材メーカーを含めた補償基金制度創設のための協議条項を含む基本合意書を締結しました。そして、令和3年6月9日、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」(以下「給付金法」といいます。)が成立し、建設アスベスト被害者が訴訟を起こすことなく給付をうけることができる制度が制定されました(給付金法の詳細は、【国からの給付金制度(建設アスベスト給付金制度)】)

しかし、建材メーカーはいまだ責任を認めず、訴訟を続けています。弁護団としては、建材メーカーに対しても、アスベスト被害の救済のため、給付金制度と同じく、訴訟によらない形で賠償をする制度を創設するよう求めています。

建設アスベスト訴訟とは、建設業に従事し、アスベスト含有建材を使用する際に、アスベスト粉じんを吸い込んだ結果、肺がん、中皮腫等の石綿(アスベスト)に関連する病気にかかってしまった被害者の方及びそのご遺族の方が原告となり、国や建材メーカーに対して、損害賠償請求を求めていた訴訟です。

 2021年5月17日、最高裁判所第1小法廷は、4件の建設アスベスト訴訟(神奈川・東京・京都・大阪の第1陣訴訟)について判決を言い渡し、国及びアスベスト建材を製造したメーカーの責任を認める統一的判断を示しました(当弁護団も上記東京第1陣訴訟に参加した埼玉県在住の原告らを担当し、弁護団の一員として訴訟を行ってきました。)。

また、本判決を受けて、翌18日、菅元総理が原告らに謝罪し、弁護団は国と協議を行いました。その結果、判決対象外の被害者及び未提訴の被害者を含む幅広い範囲の救済制度が作られることになり(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19306.html)、令和3年6月9日に、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、令和4年1月19日に施行されました(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensetsu_kyufukin.html)。

【当弁護団の対応】

 当弁護団は、建設アスベスト訴訟を東京弁護団とともに戦い、上記最高裁判決を勝ち取った弁護団です。給付金の申請においても、引き続き皆様のご相談・ご依頼を受けております。

給付金請求の手続がわからない方、ご自身が要件を満たすか不明である方など無料でご相談頂けますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

TEL:048-862-0355
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1 提訴概要

  • 提訴日・原告

第1陣 2020年3月24日 原告数43名、被災者数38名
第2陣 2020年12月18日 原告数12名、被災者数10名
第3陣 2022年6月7日 原告数24名、被災者数17名

  • 被告

国ほか以下の20社

ウベボード㈱、㈱エーアンドエーマテリアル、㈱エム・エム・ケイ、㈱クボタ、ケイミュー㈱、神島化学工業㈱、信越ポリマー㈱、積水化学工業㈱、大建工業㈱、太平洋セメント㈱、田島ルーフィング㈱、東リ㈱、ナイガイ㈱、ニチアス㈱、日鉄ケミカル&マテリアル㈱、日東紡績㈱、日本インシュレーション㈱、㈱ノザワ、パナソニック㈱、㈱バルカー

2 期日

  • 第1回期日 2020年10月7日
    訴状及び答弁書の陳述と、原告側から生存原告、遺族原告、弁護団(総論及びアスベストによる被害)の意見陳述を行いました。
  • 第2回期日 2021年3月17日
    裁判では、弁護団から建築作業の内容や、どのようにしてアスベストの粉じんにばく露してしまうのかについて、作業の様子をまとめた映像を交えながら、意見陳述を行いました。
  • 第3回期日 2021年6月30日
    裁判では、弁護団から最高裁判決(2021年5月17日判決)で判断された国や企業の責任について、要点や意義について説明をし、国に対して速やかな和解を求める上申書を提出しました。
  • 第4回期日 2021年10月13日
    「被災者及びその遺族である原告らに深くお詫びする。」との条項を含む内容で、国と原告26名(被災者22名)との間で和解が成立しました(賠償金総額は合計2億7621万円)。
    2021年5月17日の最高裁判決を受けて締結された基本合意書に基づいて国と和解をすることは、埼玉では初めてであり、全国でも、北海道、大阪、京都についで4例目でした。また、埼玉訴訟での当該和解は、これまでに基本合意に基づいて行われた和解と比べても最大規模の和解であり、かつ、2020年3月24日に全国で一斉提訴した訴訟の中では最も早く和解に至りました。
  • 第5回期日 2021年12月22日
    国と原告8名(被災者6名)との間で和解が成立しました。
  • 第6回期日 2022年3月2日
    国と原告14名(被災者10名)との間で和解が成立しました。
  • 第7回期日 2022年7月13日
    原告1人(床工)の尋問が行われました。建設作業の実態や、目に見えないアスベスト繊維を知らないうちに吸ってしまうことの恐ろしさが語られました。国と原告4名(被災者3名)との間で和解が成立しました。 
  • 第8回期日 2022年11月9日
    裁判官の交代があったため、再度弁護団から建築作業の内容や、どのようにしてアスベストの粉じんにばく露してしまうのかについて、作業の様子をまとめた映像を交えながら、意見陳述を行いました。
  • 第9回期日 2023年2月1日