すべてのアスベスト被害者に救済を

学校アスベスト訴訟

教員②

1 裁判の概要

埼玉県戸田市公立小学校の教員として勤務していた四條昇さんは、2007(平成19)年5月1日に心膜中皮腫で亡くなりました。「中皮腫」は、アスベストに曝露しなければ罹患しないと考えられている疾病です。

そのため、四條さんのご遺族は、学校建設に使用されていたアスベストが原因で四條さんは亡くなったとして公務災害の認定を請求しましたが、地方公務員災害補償基金埼玉県支部長は「公務外の災害」である、すなわち、四條さんが亡くなったのは、学校に存在したアスベストが原因ではないと認定しました。
そして、その後に行った審査請求、再審査請求でも同様の判断がされました。その理由としてあげられたのは、端的に言えば、「アスベストがあったことを直接示すような証拠がないから」というものでした。

しかし、喜沢小学校にアスベストが存在したことについては、複数の証拠から強く推認される事実です。各証拠の内容はアスベストの存在を示唆するものであり、どの内容にも矛盾がありません。
学校アスベスト被害は、その被害の特性から今後も増加し続けることが予想され、アスベスト被害に遭われてしまった教員の方が速やかに公務災害であるとの認定を受けた上で、適切な救済を受けることができるような態勢を構築させる必要があります。
そこで、埼玉アスベスト弁護団としては、平成26年7月30日、四條さんの公務外災害認定処分を取り消させる裁判を提起し、四條さん個人の救済を図るとともに、現在も発生し、今後も増大が予想される教員アスベスト被害の速やかな救済を図ります。

教員③

記者会見時

 

2 現在の状況

2016(平成28)年7月20日、勝訴判決を受けました。

→被告は控訴をしています。

 

弁 護 団 声 明 

 

 さいたま地方裁判所第4民事部(志田原信三裁判長)は、本日、故四條昇氏(以下「昇氏」という。)の公務外災害認定処分取消請求訴訟において、原告勝訴の判決を言い渡した。

 

埼玉県戸田市の公立小学校の教員であった昇氏が2007(平成19)年5月1日にアスベスト粉じんへのばく露を原因とする中皮腫で亡くなったことに対し、遺族である妻・四條延子氏は、昇氏の死亡が戸田市立喜沢小学校における公務の遂行に際してアスベスト粉じんにばく露したことに基づくものであるとして、公務災害申請を行った。しかし、喜沢小学校にアスベストが存在したことを直接示す証拠はない、という理由で認められなかった。
本訴訟は、地方公務員災害補償基金に対し、この公務外災害認定処分の取消しを求めたものである。

 

 本訴訟の主な争点は、昇氏の在職当時、喜沢小学校の階段室天井に仕上げ材としてアスベストが存在したか、そして、昇氏がそのアスベスト仕上げ材から飛散するアスベスト粉じんにばく露した結果として死亡したといえるかという点にあった。

 

 本判決は、階段室天井に仕上げ材としてのアスベストが存在したことを直接示す証拠はないとしたものの、アスベスト仕上げ材が存在したことを推認させる複数の書証及び証言を採用し、これらの証拠により、喜沢小学校にアスベストが存在したと認定し、これを前提として、昇氏にはほかにアスベストにばく露する機会がなかったことなどから、昇氏は喜沢小学校の階段室天井のアスベスト仕上げ材から飛散したアスベスト粉じんにばく露した結果亡くなったと判断した。

 

 本判決は、公立学校教員のアスベスト被害について、全国ではじめて、公務上の災害であると判決において認めたものであり、学校現場において広く施工されていた吹付けアスベスト等の飛散性の高いアスベスト建材に基づく被害の適切な救済に向け、大きな意義をもつといえる。

 

特に、1987(昭和62)年のいわゆる「学校(アスベスト)パニック」に際して文部省(当時)が調査対象としたのが、5種類の吹き付けアスベストの内、「吹付石綿」等の3種類に限定され、石綿含有吹付けバーミュキュライト等の仕上げ材2種類が調査対象から除外されるという極めて不十分な調査に留まっており、その結果として吹付けアスベストが存在したにもかかわらず、その存在を直接的に示す証拠が残らない事態も相当程度あったものと推定されるところ、本件においても、文部省調査の結果においては、アスベストは存在しないものとされていたが、文部省調査以外のその他の証拠からアスベストの存在が認定されている点が特に重要である。

 

さらに本判決は、このようなアスベストばく露の事実が認定され、相当期間日常的に石綿にばく露したことがあれば、必ずしも詳細なばく露態様・濃度の立証まで必要とせずに、公務災害であると認定している点においても、先例的な意義は大きいといえる。

 

 本判決を受け、弁護団は、今後、教員のみならず当時の児童・生徒にも増え続けることが想定される学校アスベスト被害の救済の実現に向け、引き続き尽力する決意である。

 

以上、声明する。

 

2016(平成28)年7月20日
埼玉学校アスベスト被害対策弁護団
団長 弁護士  南雲 芳夫

 

判決直後

判決直後

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記者会見時

会見時

会見時

 

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